出典:https://www1.suzuki.co.jp/motor/hayabusa-sp/
2021年4月についに発売されたHayabusa(隼)は約13年ぶりのフルモデルチェンジしましたが、排気量はまさかの据え置き、それどころかエンジンの最高出力が下がっていたりと、見た目や電子制御が変わった以外特に変更がないフルモデルチェンジでした。
しかしそれがSUZUKIの凄いところで変えないことで得られたメリットがとてつもなく大きいのでそんなHayabusaの魅力を紹介したいと思います。
主要スペック
【】はSEモデル | ||||
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ネーム | Hayabusa | 旧Hayabusa | Ninja H2 SX【SE】 | |
全長 | 2180mm | 2190mm | 2175mm | |
全幅 | 735mm | 735mm | 790mm | |
全高 | 1165mm | 1165mm | 1260mm | |
シート高 | 800mm | 805mm | 820mm | |
最低地上高 | 125mm | 120mm | 130mm | |
ホイールベース | 1480mm | 1480mm | 1480mm | |
燃料消費 WMTCモード値 | 15.4Km/L | 17.6Km/L | 18.4Km/L | |
燃料タンク容量 | 20.0L | 21.0L | 19.0L | |
車両重量 | 264kg | 266kg | 266kg【267kg】 | |
最小回転半径 | 3.3m | 3.3m | 3.2m | |
エンジン種類 | 水冷4気筒/DOHC4バルブ | 水冷4気筒/DOHC4バルブ | スーパーチャージャー水冷4気筒/DOHC4バルブ | |
総排気量 | 1339cm3 | 1339cm3 | 998cm3 | |
最高出力Kw(PS) | 138KW(188PS)9700回転 | 145KW(197PS)9500回転 | 147KW(200PS)11000回転(ラムエア加圧時154KW(210PS)) | |
最大トルクN・m(kgf・m) | 149N・m(15.2kgf・m)7000回転 | 155N・m(15.8kgf・m)7200回転 | 137N・m(14.0kgf・m)8500回転 | |
内径×行程 / 圧縮比 | 81.0mm × 65.0mm / 12.5:1 | 81.0mm × 65.0mm / 12.5:1 | 76.0mm×55.0mm/11.2:1 | |
エンジンオイル容量 | 4.1L | 4.0L | 4.7L | |
変速比 | 1速 | 2.615 | 2.615 | 3.076 |
2速 | 1.937 | 1.937 | 2.428 | |
3速 | 1.526 | 1.526 | 2.045 | |
4速 | 1.285 | 1.285 | 1.727 | |
5速 | 1.136 | 1.136 | 1.523 | |
6速 | 1.043 | 1.043 | 1.347 | |
一次減速比/二次減速比 | 1.596 / 2.388 | 1.596 / 2.388 | 1.480/2.444 | |
キャスター角度 | 23゜00′ | 23°25’ | 24゜70′ | |
トレール量 | 90mm | 93mm | 103mm | |
フレーム形式 | ダイヤモンド | ダイヤモンド | トレリスフレーム | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 | テレスコピック式 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | スイングアーム式 | スイングアーム式 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C(58W) | 120/70ZR17M/C(58W) | 120/70ZR17M/C (58W) |
後 | 190/50ZR17M/C(73W) | 190/50ZR17M/C(73W) | 190/55ZR17M/C (75W) | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク | 油圧式ダブルディスク | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | 油圧式シングルディスク | 油圧式シングルディスク | |
税込み価格 | 2,167,000円 | 1,609,200円 | 2,651,000円【2,970,000円】 |
旧Hayabusa&Ninja H2 SXとの比較になります。
フルモデルチェンジしたといってもスペックだけみると旧型のHayabusaとほとんど変わっていない。むしろ50万近く値上りしたのにも関わらず最高出力が188PSと9馬力DOWNとスペックダウンしてしまい正直残念に感じた人が多いと思います。
そしてNinja H2 SXとの比較した場合、Ninja H2 SXは予想以上に重量があり取り回しはどちらも大変そう、そしてエンジンスペックを比べた場合、最高出力はNinja H2SX が勝っていますが、Hayabusaは149N・m(15.2kgf・m)7000回転で発揮されるぶ厚いトルクがなんといっても魅力的、です。また値段に関してもNinja H2 SXより若干手が出しやすのがHayabusaの良いところ。
エンジン

旧モデルのエンジンをベースに、部品の一つ一つの設計を見直した1339ccのエンジン。
大きめの変更点としてはエキパイの形状が変更しているのとサイレンサーも変更されていること。
元々耐久力には定評のあったHayabusaのエンジン、海外ではターボが付けられたり、車に付けられたり、2つを合体させてV8エンジンに改造されたりとよく魔改造されてたりします。
特に変化はないようにみえるこのエンジンですが実は、この「全ての部品設計を見直した」これが実はすごい、だって普通はエンジンを”売り”にするならスペックを向上させたとか、馬力を〇〇にしたとかわかりやすいことを売りにするし、技術者側もそのほうがやる気がでます。
けど今回のHayabusaは”エンジンの設計を見直した”だけ、裏を返せばもうエンジンはイジるようなところが無いってくらい完成度が高いレベルってこと、その2代目隼のエンジンを徹底的に研究をして結果、ボルト1本オーリング1枚さらにはネジの締め方まで見直して「お客様の触らないところからエンジンの強度を上げている」っていう普通とは違う視点からエンジンを強化してるってこと
カウル&フレーム

空力を意識しつつHayabusaらしさを残したデザイン。フロントフェンダーに空いている穴もちゃんと計算されてラジエーターに空気を当たるようにまた、サイドカウルのウィングレットなども空力性能向上に一役買っています。

1代目から受け継がれる余裕で300キロを走れるフレーム。
また低重心にも関わらずコーナリングが面白いと評判なHayabusaのアルミツインスパーフレームです。
メーター周り

Hayabusaといえば初代から伝統の5連メーター。特に今回のフルモデルチェンジで電子系統の機能が増えました。
- アナログスピートメーター
- アナログタコメーター
- 燃料計
- 水温計
- ツイントリップ
- ギアポジションインジケーター
- 電圧計
- 航続距離
- 作動中のSDMS-αのモード
- バンク角(ピークホールド機能付き)
- 前後ブレーキ圧
- 前後加速度
- スロットル開度
とフラグシップモデルらしくかなり多機能なメーターになっています。
ヘッドライト&テールランプ&ウィンカー

エアダクト横にあるのがポジションランプ兼ウィンカーでより洗練された印象

Hayabusaらしさを残しつつよりシャープになった印象フロント、逆にテールランプは今までのHayabusaとはまったく違った造形になりました。
足まわり

Hayabusa専用に開発されたブリヂストン製BATTLAX HYPERSPORT S22を採用。最高峰レベルの公道用スポーツタイヤ
フルアジャスタブルKYB製倒立フロントフォークを採用、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングをしてあり路面追従性が上がっています
リアサスペンションはフルアジャスタブルKYB 製リンクタイプリヤサスペンション

フロントブレーキキャリパーにはBrembo Stylemaを採用、ちなみにこれもHayabusa専用に作られた108mmタイプでBrembo Stylemaは元々100mmだけ、Hayabusaが世界初の108mmバージョンBrembo Stylema搭載マシン。
さらにフロントブレーキディスクは、外径を310mmから320mmに拡大
タンク周り

タンク周りというよりも上から見た写真になりますが、まず大柄の車体のわりにシート自体はそこそこ絞ってあり、足つきは良い。
ポジションが若干変わり、ハンドルが12mm 近くなり快適性が上がりましたが、まだ人によっては遠いと感じる声もあります。
その他装備&電子制御

電子制御が今回フルモデルチェンジしたHayabusaの一番変わったところ。なにせ13年分の電子制御を全部のせたような感じ。フラグシップモデルなだけあってSUZUKIが持っている電子制御を全て突っ込んだ仕様になっています。
全ての電子制御をまとめるスズキインテリジェントライドシステム (S.I.R.S.)その中身は以下の通りで聞き慣れないシステムが多いと思うので簡単な説明
- ボッシュ製の6軸IMU・・・ピッチ、ロール、ヨー、前後、左右、上下の姿勢制御
- パワーモードセレクター・・・エンジン出力や特性を3段階で調節
- 双方向クイックシフトシステム・・・クイックシフター
- エンジンブレーキコントロールシステム・・・3段階+OFFの4段階でエンジンブレーキを調整
- モーショントラックトラクションコントロールシステム・・・10段階+OFFの11段階、タイヤのスピンを感知してエンジン出力を制御する
- アンチリフトコントロールシステム・・・前輪のリフトを抑えながら最大限の加速が得られるシステムこちらも10段階+OFF
- ローンチコントロールシステム・・・発進時に滑らかで効率的な加速をサポートするシステム
- アクティブスピードリミッター・・・ライダー自身で設定できるスピードリミッター
- クルーズコントロールシステム・・・クルコン30km〜
- モーショントラックブレーキシステム・・・6軸IMUとABSを組み合わせたシステム、ABSの介入を制御したりか、介入した場合高度な制御を行い効率的な減速を行う
- スロープディペンデントコントロールシステム・・・車体の姿勢と傾斜角度の検知データから、勾配に応じてABSの作動を最適化
- ヒルホールドコントロールシステム・・・上り坂でブレーキを放しても約30秒間リヤブレーキを自動的に作動
ETC2.0車載器が標準装備
価格
2,167,000円と旧型に比べて約50万の値上り、しかし充実の電子制御、高耐久&高出力エンジン、強化された足回りと、さらに設計を変えてないことによる品質と完成度を考えたら決して高くはない値段だと思います。
ライバルになり得る現行車種はKawasakiのNinja H2 SXでありこちらは265万円〜とさらに値段が上がります。スーパーチャージャーがついていたりモデルチェンジで後方レーダーなどが装備されておりHayabusaとは真逆の常に新しい技術を取り入れていくスタイル。
まとめ
今回はフルモデルチェンジしたHayabusaをまとめてみました。スペック上でみるとそこまで変化がないモデルチェンジに思えましたが、その中身はSUZUKIが本気で作ったアルティメットスポーツにふさわしい内容でした。
具体的に今回Hayabusaを開発するにあたってまず開発陣がやったことが2代目Hayabusaを徹底的に研究したことです。自分たちで作ったのに研究するっていうのがまず凄い。だって性能テストや耐久試験は元々クリアしてるエンジンを極限状態までもっていき壊れた部分を改良をしてを何度も何度も繰り返し改良していく。これってつまりエンジンの耐久性を高めるわけですがぶっちゃけ過剰品質であり、本来はメーカー側としてあまりやりたくはない。
なぜかというと得られるメリットがユーザー側しかないから、耐久性があまりに高すぎると長く乗れる=買い換えることがない、となってしまいメーカー側はバイクが売れなくなってしまうからコストだけが掛かる過剰品質はあまりやりたくないわけ
しかしHayabusaは「10万キロ20万キロなんなら50万キロのってください」っていうくらいSUZUKIが自信を持って送り出してきたHayabusaは正に最後のバイクにふさわしいと思います。
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